院長からのメッセージ
繋がりの医療(ネットワーク医療)
一般的に医療界でチーム医療、ネットワーク医療と言った場合、それは医師同士やコメディカル、
つまり西洋医学の中のみで構成されたもので、そこに代替医療(※)は含まれていません。
しかし、西洋医療と代替医療、医師と代替医療家の技術面、情報面での関わりはとても大切だと思っています。
人間をまるごと診るホリスティック医療を実践するには西洋医学だけではなく、そこに代替医療、各種セラピー、
そして非医療的な介入も加え、業種の垣根を越えたネットワーク(繋がり)が必要と考えています。
ホリスティック医学の理念に基づいたネットワークの構築
私は同じ志を持った各専門家たちが、円滑な連携関係を持ち、互いの知識・技術・情報・意見を提供し合って患者さんがより最適な治療・
ケアを受けられるようなネットワークをつくることはできないだろうかと考えました。
理屈より行動ということで、まずは代替医療に理解のある近隣の医院、医師を探すことから始めました。
最初に1人の内科医に趣旨を説明したところ理解をいただくことができ、有難いことにそこに数名の医師が加わってくれました。
こうして当院スタッフと医師ら4、5人でスタートしたネットワーク活動、
“ホリスティック医療研究会”がスタート。2004年秋のことでした。
3つのネットワーク活動
この地域ネットワークを臨床、研究、情報発信という3つの柱を立てて動かすことにしました。
信頼関係を構築し、スムーズに患者さんを紹介し合い、必要に応じての併用治療などに活かす「臨床ネットワーク」、
定期的に勉強会などを開催し交流する場を設け、知識、技術の向上を目指す「研究ネットワーク」、
地域の皆さんがネットワークに関わりやすくなるために住民を対象に健康講座や各専門分野からの情報を提供する
「情報発信ネットワーク」です。
まずは定期的に勉強会を開くことからスタートしました。
医師は代替医療について、代替医療の人たちは西洋医学についてというようにそれぞれに不足している知識や考え方を補い合えるように
バランスを考えてテーマを決め、年3、4回のペースで続けました。
勉強会を続けるうちに、地域外からも医師、セラピストを始め様々な分野の専門家たちがこの活動に賛同し集まるようになりました。
勉強会などを通して、それぞれの立場、考え方などを理解し合うことによって、必要に応じて治療院から医師へ、医師から治療院へと患者さんの紹介、
情報交換ができるようになり、臨床ネットワークにも繋がるようになりました。
イベントの開催
地域の皆様への情報発信としては、2010年から年に1回、当会主催の健康イベント(みんなが繋がるホリスティック医療)を開催しています。
医師、セラピストなど健康の専門家たちがボランティアで講演、各種セラピーの提供を通してホリスティックな医療、健康、
生き方などを一般の皆様に知っていただこうとするものです。
今後も人間まるごとの医療、健康を目指し、大きな仲間たちと小さな一歩を重ね続けたいと思っています。
医療の役割とは
西洋医学・東洋医学・代替医療、こころ・からだ・いのち・・・すべてが繋がり、かかわり合うことで私たちは 健康に生きることができているのです。
医療とは”生きること”を支援することです。
生きるということは、自らに与えられた条件、環境下でいのちを養うことだと思います。
どんな状況でも私たちは生きていかなくてはなりません。
障害を背負っている人でも、難病と闘っている人でも、そして寿命を終えようとしている人でも・・・
その中でいのちを養うことができている人は健康な人だと思います。
その生きるプロセスを時には優しく、時には力強く、そして静かに温かくサポートし続けるという役割も医療にはあるのです。
歩き(生き)続ける人の杖の役割になったり、ひと休みする椅子の役割になったり、コップ一杯の水を差し出す役割、飴玉をひとつ差し出す役割・・・・、
そして歩きやすい道を教えてあげたり、この道を曲がれば休憩小屋があることを教えてあげたり・・・
それらが、歩き続けるための、生き続けるための、ほんの一握りの力になれるのであれば、それは立派な医療ではないでしょうか。
これからは医療という言葉の解釈を拡げていかないといけません。
※代替医療=現代の西洋医学以外の医学や医療の総称